「アレン様は、どこか抜けていらっしゃる」
なんだか恥ずかしい気持ちになりながら歩く俺を見て
細い指を口元に当てて笑うグレイスがそう言う
「それは、グレイスも同じだろ?」
「――?」
「道。間違ってる」
少し見慣れた道に差し掛かって、思っていた道とは正反対の方向に足を進めたグレイスにそう言う
すると、キョロキョロと辺りを見渡して、頬をピンクに染めた彼女
そんなグレイスを見て、ふっと微笑む
「あと――俺の前で、言葉は気にしなくていいよ」
「――それはなりません」
「いいから。それに、そっちの方が本当のグレイスになれるだろ?」
少し微笑んだ俺に目を見開くグレイス
そして、息の下でふっと笑って
「本当、おかしな人」
そう言って、笑った



