「まさか、自分が宮殿の中にいたとはね」
驚きながら、その美しい建物を見上げる俺を見てクスクスと笑うグレイス
「お気づきにならなかったのですか?」
「外に出た時は、周りの景色に目を奪われていたから」
そう言った俺を、もう一度可笑しそうに笑うグレイス
そんな彼女を横目に、足を前に進める
そう。
俺がここ最近過ごしていたのは、王宮の中だった
どんどん王宮に向かって、足を進めるグレイスに不思議になって声をかけたんだ
すると、キョトンとした顔で
「帰るのですよ?」
と言うもんだから、いよいよ訳が分からなくなった



