My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



囁く様にそう言ったグレイスの言葉をなぞって、その言葉にピンとくる




「女王陛下」




俺の溢した言葉に、同意する様にコクンと頷いたグレイス

そして、悲しそうな瞳で遠くにそびえる建物を目を細めて見つめた



「あそこで姫様は今も悲しみに暮れていらっしゃる」

「――」

「この国は今も尚、ガスパルの脅威にさらされているのです」




少し離れた所に転がる、瓦礫にそっと目を移してそう言うグレイス



青々と茂る緑の上に落ちた

あまりにも不釣り合いな

それ――