囁く様にそう言ったグレイスの言葉をなぞって、その言葉にピンとくる 「女王陛下」 俺の溢した言葉に、同意する様にコクンと頷いたグレイス そして、悲しそうな瞳で遠くにそびえる建物を目を細めて見つめた 「あそこで姫様は今も悲しみに暮れていらっしゃる」 「――」 「この国は今も尚、ガスパルの脅威にさらされているのです」 少し離れた所に転がる、瓦礫にそっと目を移してそう言うグレイス 青々と茂る緑の上に落ちた あまりにも不釣り合いな それ――