My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ




◇♦◇♦◇





「あの建物は?」




勢いよく流れ落ちる滝の側を歩きながら、遠くにそびえる建物を指さす



大きなドーム型の建物

外壁は、他の建物と同じ柔らかな白

それでも、屋根の部分は鮮やかな青で彩られている



他の建物よりも遥かに豪華な造り

きっと特別な何かのはず



首を傾げて訪ねた俺に、グレイスが柔らかく微笑んで言う




「王宮ですよ」

「あれが...」

「レイア姫様も、あそこに」

「レイア姫?」

「―――王家最後の姫君。ラピス家の生き残りです」




そう言って、遠くにそびえ立つ建物をじっと見つめる彼女