「ヴェントスの国王に、書簡を送りたい」 「――」 「頼む」 何も言わずに、俺の顔をじっと見つめるホリス 瞬き1つせずに、ただただ俺を見つめている 美しい顔に、夕闇の藍が挿す すると 「使者を出そう」 「――」 「明朝だ」 最後にそう言い残して、踵を返し歩き出した 美しい白の衣が、薄暗くなる世界に舞う 「――グレイス。手配を」 「承知いたしました」 そして、姿を消した