「クレムは滅びた」
どこからともなく聞こえた声
透き通った、その声に背筋が伸びる
ゆっくりと後ろを振り返ると
銀色の美しい髪を風になびかせて、こちらを見つめて立つホリスがいた
いつの間に――
そう思ったけど、さっき聞いた言葉が頭を占領する
「滅びた...?」
「あぁ、さきほど知らせが入った――ガスパルだ」
俺の目を見ずに、そう言って
コツコツとこちらに向かってくるホリス
そして、吐き捨てる様にその国の名前を言った
「国王は・・・」
「王家も皆、殺された」
揺れる俺の言葉とは逆に、淡々とそう言うホリス
まるで、世界を一歩後ろから見ている様な
そんな印象



