「もともと俺達はある任務の為に、旅をしていた」
「任務?」
訝しげに、そう言って首を傾げるグレイス
真っ赤な夕日が彼女を照らし、赤く染める
どうして今まで忘れていたんだ
あの日王宮で手渡された書簡を思い出す
必ず届けて欲しいと、陛下から直接手渡されたモノ
国一つの運命を変えるかもしれない、書簡―――
「訳あって、クレムまで行きたい」
「クレム...」
俺の言葉を聞いて、小さくその国の名前をなぞるグレイス
その言葉はどこか揺れていて、頼りない
「グレイス?」
その声を不思議に思って、目の前の彼女の顔を覗きこむ
すると



