「なっ何事です!?」
「グレイス! 頼みがある!」
勢い良くグレイスに向き直って、その細い肩を掴む
驚いたグレイスは、一歩後ろに引いた
「俺をこの国から出してくれないか?」
それでも、間髪入れずに言葉を落とす
すると、その言葉を理解したグレイスが瞳を揺らした
「な...何を仰っているのです!? ご自分の立場をご理解しておりますか?」
「分かっている! それでも、行かなければ!」
「行かなければとは...どこへ?」
理解不能だと言わんばかりに、眉間に皺を寄せて俺を見つめるグレイス
その姿をじっと見つめ返して、必死さを伝える
分かっている
俺は言わば、捕虜の様なものだ
招かざる客。
勝手な行動は制限されている
でも――



