俺と後輩と怪談と。




今朝の目覚めは最悪だった。


重い息苦しさにうなされての起床。


この感じ間違いなく……憑かれた。



「最悪だ……ほんと。」



自分の席に着いて机に突っ伏す。


「先輩、今日のはまた…重そうですね。」



聞き覚えのありすぎる声に慌てて体を起こす。


廊下に面した窓から、身を乗り出すのは


「楠木!」
「どうも。」


紛れもない後輩だった。



「一体今までどこ行って…」
「いやぁ、油断してしまいました。大丈夫です、この通り元気ですから。」


にこにこ微笑む顔は確かに元気そうだ。



「元気なのは分かったけど、」


知りたいのは、そこじゃない。


「分かってますよ、先輩の聞きたいことは。放課後にでもお話します。“それ”はその時にでも」



後輩の言う“それ”は、この重くのし掛かる原因だろう。



それでは、と後輩は居なくなった。


つまり放課後までは、この重くのし掛かる奴と付き合わなくちゃならないって事か。