『 好き 』
そんな言葉がたくさん頭の中をグルグル駆け巡る。

私はペンの先をカチカチやりながら、ぼやーっと、授業を受けていた。
ぼやーっとしているが、先ほどから頭の中に華園が広がっている。
そう、華園とは…
私が半年前から片想いをしている、河田由斗のことで頭がいっぱいなのだ。
由斗とは、友達以上恋人未満のような、よくわからない関係をしている。
だからか、私も踏み切った行動が出来ずにいる。
今だに由斗の性格はよくわからない。



『 おい!芦屋‼︎ 芦屋美咲‼︎ さっきから、ぼけーっとして。 何やってんだ。
大丈夫なのか!』

あ!やばい‼︎
担任の梶原が片方の眉毛を釣り上げている。授業中の華園は、時に注意を促す。

『 あ!すいません!大丈夫です!
ご、ごほんっ。』
私は慌てて、わざとらしく咳をした。

梶原はすぐに黒板を向いて、また何かを書き始めた。

ふぅ、危ない危ないっ。
いきなり、読んでもない教科書の問題を解けと言われたらどうしようかと思った。
また、何か言われたらどうしようか…。
梶原の後ろ姿を見ながら、少しの緊張が流れてきた。
しかし、そんな緊張もいつしかとれていった。