私に背中を向けて、忙しなく手を動かしている紀衣。



せっかく友達が遊びに来てるっていうのに、何を熱心にしてるのよ。



四つん這いで紀衣に近付いて、手元を覗き込む。
紀衣の手にあったのは、先っぽをタンスに挟んだ三色の糸。



これって……



「ミサンガ?……もしかして紀衣、ミサンガ編んでるの?」



紀衣は手を止めると、当然だという顔をして首を捻った。



「当たり前じゃん。和歌ってば知らないの?」



「何を……?」



テーブルに置かれたお菓子を摘まんで、頬張る。



あっ、これ新作のやつじゃん。
ずっと気になってたんだよね。思ったとおり、すごく美味しいや‼



「ジンクスだよ!!」



「ジンクス……」



うっわぁ……。
全くと言っていいぐらい興味ないや。



でも、紀衣は私と違って、こういう類の大好きだもんね。
クリスマスとかハロウィンとかバレンタイン大好きっ子だもん。



「で……ジンクスって何?」



一応聞いておこう。
もう一つお菓子を口に入れて、紀衣に座布団(クッション)を勧めた。