唯一の涙


このまま、時間が止まってしまえばいいのに。



いつまでも明日が来なければ、先輩と別れることはないのに。



分かってる。



分かってるよ。



私にとって、来て欲しくない明日は、誰かにとっては早く来て欲しい明日なんだってこと。



そしてそれは、たとえどんなに強く願ったとしても、時の流れなんて誰にも変えられないんだって。



ちゃんと分かってるから。



でも、お願い先輩。



今だけは。
今のこの瞬間だけは、我が儘言っても良いですか……?



明日になったら、ちゃんと笑ってみせるから。



笑顔で先輩を送り出してみせるから。



子供みたいに泣きじゃくっても良いですか……?





先輩はまるで、私の心の問いかけに応えるように、優しく抱き締めてくれた。
私の涙が止まるまで、ずっとそばに居てくれたんだ。



大好きです、先輩。