キミの好きなもの





いや、別に、あーくんに興味ないとか、眼中にもないとか言われたことがショックとかそういうんじゃなくて。


ただちょっと、目にゴミが入っただけであって、



・・・って私誰に言い訳してるんだろ。





そうだよ、あーくんの眼中にもなかったことがちょっと哀しかっただけ。



ってこれも言い訳だ。






そうだよ、哀しかった。

別に、泣くほどのことじゃあないけど。




「え、と、あい?」


あーくんは私に手を伸ばす。



「や、別に泣いてないから」


私はそう言って立ち上がる。



そしてあーくんの部屋を出て行こうとドアノブをつかんだ。




「ちょ、ちょっと待てよ、あい」

「ごめん、急用思い出した、帰る、お邪魔しました」


「待てって」





がしっと肩を掴まれる。



「や、違う、ごめんね、あーくん、なんかちょっと目にゴミが」



私はゴシゴシと涙を拭う。