それから、いつも通りに残りの授業を受け(ほぼ寝ていた)、不本意だが、嵐斗達と一緒に寮へと帰った。
そして、部屋着に着替え、ベッドにダイブしようとした所で、無機質な着信音が鳴った。
…誰だよ、寝ようとしたのを邪魔したのは。
理不尽な怒りを抱きながら画面に表示された相手を確認すれば、
『…母さん?』
最近は掛かってきてなかった、母さんからの着信だった。
何で母さんが。
疑問に思いながらも、電話に出る。
『もしもし、母さん?』
「朔ちゃんー!どう?元気にしてる??入学してから一切連絡ないから、心配してたのよ??」
うるさっ…、相変わらずテンションが高いな。
『あぁ、元気にしてるよ。ごめん、色々バタバタしてて連絡出来なかった。で、用はそれだけ?』
「もう…、久しぶりだってのに相変わらず冷たい子ね全く。お父さんも心配してるのよ?毎日毎日、スマホをチラチラ見て朔ちゃんからの連絡待ってたのよ」
…そんな父さんの姿は、何となく想像出来る。
両親は、何かと過保護だ。
多分、俺がこんな格好…、いわゆる男装をし始めてからだと思う。
「分かってる??いくら見た目が男の子に見えても、いくら喧嘩が強くても、朔ちゃんは女の子なんだからね?無理したり、危ない事しちゃだめよ?」
『分かってるよ、母さん』
俺が、そんな無駄な心配をさせてるってのは分かってる。
でも、やっぱり男装は止められないんだ。
これは、弱い自分を、守る為のモノだから…。

