記憶を失くしたわがまま彼♡




急に男の手が私の腕から離れた。



え?



不思議に思っていると、そこには



息を切らして、すごいスピードで走ってきたと思われる尚人くんの姿があった。



「俺の女なんだけど。」



尚人くんは真剣な表情でそう言った。



こんな顔もするんだ………



ドキッ



尚人くんの剣幕に負けたのか、男は逃げていった。


すると、尚人くんが


「市川、大丈夫か?」


と聞いてくれたので、



笑顔で「うん!!」



って返そうとしたけど言葉が出なかった。



代わりに、涙ばかりが溢れでて来た。


「ご、ごめんね…ありがとう!なんか、ダメだな。涙腺壊れてるのかも」



私が心配されないように言うと



私の体は、尚人くんの腕に覆われた。



「ごめん……俺がもっと早くきてれば、市川を泣かせずにすんだのに……」



「なんで、尚人くんが謝るの?私、もう無理だと思ったから助けてくれてすっごく嬉しいんだよ?」



その後も、私が泣き止むまで、ずっと優しく背中をさすってくれた。



そして、私が泣き止むと、何事も無かった様に笑顔で



「よし、行くか!」



と言ってくれた。



ドキッ




あれ?さっきもこの感じあった……


私、どうしちゃったんだろう……