ラーメン屋で告白なんて、色気がないにもほどがある。
だけどこれは、温かい味噌ラーメンのマジックがかかったに違いない。
何気ないラーメンを好きな人と食べていると、相手を妙に身近に感じてしまう。
会社だと憧れの先輩で、少し雲の上の人にも感じられる人なのだ。
そんな人が今夜は、ずっと近くに感じられるのだから。
だから、衝動的に告白をしてしまったのだった。
そして、敦哉さんは予想通り言葉を失っている。
けれど、すぐにいつもの笑顔に戻っていた。
「ありがとう。愛来から告白されるなんて嬉しいよ」
それは、思ってもみない反応で、もっと戸惑われるかと予想していた。
それなのに、『ありがとう』とは期待をしていいのか。
すると、その答えはすぐに出たのだった。
「付き合おうよ、俺たち。愛来は、俺のタイプなんだ」
「えっ?付き合う!?」
思わず声が裏返り、敦哉さんに爆笑されてしまった。
「何でそんなに驚くんだよ。そのつもりで告白をしてくれたんだろ?」
「そ、それはそうなんですけど、いいんですか?本当に•••」
あまりにもアッサリとOKを貰い拍子抜けだ。
敦哉さんが、可愛かってくれている自覚はあったけれど、まさか告白を即OKされるとは思わなかった。
まるで夢を見ている様な気持ちでいると、敦哉さんは口角を上げ笑みを浮かべて真っ直ぐに私を見たのだった。
「本当だよ。愛来となら、楽しい時間を過ごせる気がする。今夜から、よろしくな」
「は、はい!よろしくお願いします」
信じられない。
本当に、敦哉さんと恋人同士になれただなんて。
残りのラーメンをすすりながら、チラッと敦哉さんに目を向ける。
すると目が合って微笑まれた。
思わず目をそらす私は、まるで子供の様だ。
忘れかけていた胸のときめきを感じ、ささいな事にも胸が高鳴る。
告白をして良かった。
ほとんど勢いだったけれど、そのお陰で憧れの敦哉さんと恋人同士になれたのだから。
しばらく、夢見心地な気分で過ごしたのだった。

