…あら、
意外とかっこいいじゃない。
思わず、衣服を物色していた手を止める。
そこそこ整った顔立ちに、軽く盛られたダークブラウンの髪。
180あるだろう身長は、彼の細身な体をうまく引き立てていて…
あー、ヤバいかも。
「ねぇ」
「はい、なんでしょう」
「ちょっと、あっちの方見てきてもいいかしら?」
「あっ、はい。構いませんよ」
「ありがと」
下僕の返事を聞いたあと、私はそそくさと彼らの目の前に移動した。
掛けられている衣服を適当に手にとり、見ているふりをする。
「ねぇ、これなんかどう思う~?」
「いいんじゃない?凄く似合ってると思うよ」
「やっぱり~?ひろ君がそう言うなら、買っちゃおっかなぁ♪」
トーンの高い猫なで声でそう言いながら、嬉しそうに男の腕に自分の腕を絡めだす、化学物質の集合体。
あれが可愛いとでも思ってんのかしら。
気持ち悪くて吐き気がするわ。
チラッと彼の様子をうかがうと、必死に隠してはいるものの、明らかに顔が引きつっていて…
もしかして、好きで一緒にいるわけじゃない?
そう思うと、なんだか余計に気持ちが高ぶった。
あー、ほんとヤバい。
やっぱり私
彼が欲しくなっちゃった。
