「別にあんたがどうなろうと、私の知ったこっちゃないわよ」
さっきまであいつが座っていた椅子と近くの使われていない椅子とを交換しながら、嘲笑うかのようにそう言う。
こいつがあの女と喧嘩しようが別れようがホテルへ行こうが、まったく興味ない。
芸能人の熱愛スクープ並みに興味ない。
勝手にやってくれって感じ。
「もうちょっと興味もてよ」
「あなたに向ける感情なんて何もないわ」
「冷たいねー、マリア様は」
「特別冷たくして差し上げてるのよ。ありがたく思いなさい」
「はっ、つれねぇ女」
ふんっ
あなたになんか、つられてたまるものですか。
そう思い、椅子に腰掛けぷいっとそっぽを向く。
すると、後ろから呆れたような奴のため息が聞こえた。
「なぁ、マリア様」
「なによ」
「俺、あいつと縁切れたんだけど」
「あらそう、良かったわね」
「良くねぇよ。どうしてくれんの?あんないいカモ、そうそういねぇのに」
「どうするもなにも、私は事実を言ったまで。恨みを買うようなことなんてなにもないわ」
「ほんと性格わりぃのな、お前」
「あなたほどじゃなくってよ」
っていうか、なんなのこいつ。
さっきから気軽に話しかけてくるけどさ…
このマリア様に、そんなに簡単にスキンシップとっていいとでも思ってんの?
周りの視線が痛いんですけど。
早くどっかいってくんないかな。
