(本当は私も受かるとはおもってなかったけどね)

そんなことを思いつつ、白い校舎に背を向ける。

「よし、高校生活のイメージも膨らんだし、そろそろ帰っ……!?」

「へっ…!!」

歩き出した瞬間、誰かと思いっきりぶつかった。

突然のことでまともに体制を整えられず、尻もちをついてしまう。

「あいてて…」

「ご、ごめんなさいっ!大丈夫ですか…?」

「あ、こっちこそごめんなさ…」

ぶつかった人の顔を見たら、言葉が詰まった。

まるで、アニメの世界からそのまま出てきたみたいに綺麗で、声も鈴の音みたいに可愛い。

(か、可愛い…。)

女の私ですらドキッとした。

「すみません、私急いでて…」

彼女は本当に泣きそうな顔をして頭を下げている。

「あ、いえ!私も前見ていなかったので……」

「本当にごめんなさい!!あなたの格好を見る限り桜陵の生徒さんですよね?私も明日入学するので、この件はまたいずれ!」

「はいっ!?」

そういって校門に走って入っていく。

「……なんか、慌ただしい子だったなぁ」

(明日入学って言ってたから、同じ学年か…)

「なんか、楽しみになってきたな…」

私はこれからの生活を思いながら、軽い足取りで帰路に着いた。