《あのさ…?》

「うん?」

《なんか聞かないの?》

「……はっ?」

急に なんか聞かないの、なんて言われても…

あ…!

俺は違和感を思い出した



「じゃあ…一つ 聞いていい?」

彼女は悲しげに笑いながら

《いいよ》

って言うから、絶対いいことではないと思いながらも聞いてしまった

「なんで…喋んねーの…?」

その質問に慣れているのか、素早く打っている

《ちょっとね、
色々あって、私 声 出ないんだ》

「……っ!!」

声が出ない。

…やっぱりいいことではなかった。

でも、彼女はあまり気にしていない様子で

《でも気にしないで? これで十分会話出来るし
ねぇ、それよりさ 私も一つ聞いていい?》

「うん。なに?」

《君の名前 なんていうの?》

あぁ、そっか。 まだ自己紹介もしてなかったな

「俺は 佐伯秋 季節の秋の秋
君は?」

《私は 瀬戸慈雨 だよ》