ピーンポーン。 鼓動が激しくなる。 必死に呼吸を整える。 「はい」 紅梨の声…。 「橘です」 「…真柚?何の用?」 乾いた笑いが聞こえる。 紅梨のこんな声…聞いたことない。 あたしが傷付けたんだ。 「紅梨っあたし…あたし… ごめんね。あたし最低だよね。 お願い…話をさせて」 どうしよう。 あたしと紅梨の間に立ち入れない溝があるみたい。 戻れないなんて…嫌だよ。