逃げちゃ駄目。 きちんと花奈の顔を見る。 「iPod落として拾ってもらったの。 それだけ、だよ」 「そうなんだ。 でもなんか真柚、避けてるみたいだったよ」 胸がざわつく。 ごめんね、嘘つきで。 「…苦手なの」 「意外。真柚って苦手な人とかいるんだ」 「そりゃいるよ、人間だもん」 嘘をついたくせに何処かほっとした自分がいた。