「紅梨と何があったんだよ?
何で俺に何も言ってくれないんだよ」

言ってからしまったと思った。
言わないようにしようって思っていたのに。
真柚が全てを押し殺して人形のように
無理に笑う。


「行ってあげて、紅梨のとこ。
今は…あたしより拓が
行って慰めてあげた方がいいの。
あたしは親が迎えに来てくれるの。
だから…先に…帰ってて」

「でも、俺… 」

「良いの、行って!」


今にも泣きそうな真柚を放ってなんて置けない。
けど、頑なに俺に行けと言う。
仕方なくその場を後にした。