月日は恐ろしいくらいに過ぎ去っていく。


「真柚、紅梨っ!俺受かってたよ!」

「あたしも。受かってた。
…紅梨?紅梨は…どうだった?」

「ははっ笑っちゃうね。
うちだけ見事に落ちたよ」

紅梨の乾いた笑いに真柚から色が消える。

「喜んだら?
うちいない方が楽しいよ、きっと。
邪魔だものね。そうでしょ、真柚?」

「…っそんなことない。
紅梨がいなきゃ…紅梨いなきゃ駄目だよ」

今にも壊れそうな2人。
何も出来ない自分がもどかしい。

“橘だけ守っていろ”

高見の声を思い出し、深呼吸する。

「そうだよ紅梨。
後期があるじゃねーか。
それに真柚に当たったって仕方ないだろ」

その言葉に一瞬にして二人の表情が一変する。
真柚は苦しそうに顔を歪め、
紅梨は何もかもが憎たらしいかのように
憎々し気に俯く。
「…同情なんて、いらない。
これでいい。後期は受けないよ」

「待ってっ」

真柚が今にも泣きそうに叫ぶ。