5人は我に返った。充実感に満ち満ちて。
数分の出来事が数億年のDNAへの
原点回帰のひと時になったような気がした。

否、それは数億年ではない、もともと、
いまもむかしもこれからも存在している
宇宙の原点なのかもしれない。

ナムストーンの不思議な響きに、
それと連なる何かを皆感じ取っていた。

石の輝きは元の輝きに戻りピンクの色も
落ち着いてきた。45度のホーバリング
を維持しながらゆっくりと皆は下降を始めた。

大文字の送り火の炎がはっきりと見下ろ
せてきたが炎の勢いはかなり低下してきた。

水平飛行に移り、鴨川をくだり
京都タワーを迂回して、
嵐山を北上する。

消えかかった鳥居の炎を飛び越えて、
もうほとんど消えた左大文字、
まだかなり明るい舟形。

ほとんど鎮火した妙法の真上を通過して
東山如意ヶ岳を上昇する。

さすがの大の字も炎が衰え始めた。
さらに上昇して戻る。