「止む止む、すぐやむ!」
人々は口々に叫んでいる。

ケムンもナセルもキーツ同様に土砂降りの中を
じっと止むのを待ち続けている。

岩山のレイは大丈夫か?
あそこだけは足場が悪い。

レイはふもとのコンビニにいた。
岩山は標高が1番低くて町の中にある。

ここからすぐに現場にいけるから
大丈夫だとのことだった。

よし!あと20分。
雨脚は少し弱まってきた。あと10分。

午後8時寸前、雨は小降りになってほとんど止んだ。
オサムは車のドアを開けて登山口を登る。

暗がりに多くの人影がうごめいている。
人の傘が邪魔だ。こちらはレインコートだ。

このまま空を飛ばなければならない。
足場を固めて東方の上空を見る。
天空は真っ暗だ。雨は完全に止んだ。