まずキーツを銀閣寺で降ろす。
もう多くの人たちが町衆とは別に
続々と山道を登っていく。

キーツは「グッドラック!」
とって人ごみに消えた。
次は松ヶ崎だ。

かなりきついヘアピンカーブの手前で
ワゴンを止めてケムンを降ろす。
妙の字はここから歩いてすぐだ。

そのまま西に北上して西加茂の舟山の
ふもとでナセルを降ろした。

人々が続々と手にライトを持って
集まってきている。蒸し暑い夜だ。

オサムはレイを金閣寺の北の岩山に降ろして、
「足場には気をつけるんだよ!」
と叫んだその時、ピカッと稲妻が走った。

すぐに雷の音。夕立だ。雨具は用意してある。
少々の雨でも送り火は決行されるはずだ。

オサムが愛宕山登山口に車を止めたときには
雨脚はかなり激しくなっていた。車の中で
ナムストーンを唱え続ける。

今午後7時半だ。あと30分で雨は止むだろうか?
かなり激しい。みんなは大丈夫か?

キーツは右大文字の中腹で雨ををしのいでいた。
薪にはブルーシートがかけられ町衆とボランティア
がずぶぬれになりながら追加の薪のほうも保護している。