「…⁈」


瀬名さん⁈

しかも今日は、イケメンの方で登校。


「人の個人情報を、ベラベラ喋っちゃうのは良くないと思うなー。」

笑ってるつもりなんだろうけど
目に覇気はない。


もしかすると
私、グーで殴られる⁈


「「…」」


私には長すぎる沈黙の後
瀬名さんがとたんに口から手を離した。





「…えっと、あ、ほら!
転入したばっかりで慣れないからさ
みんなで瀬名さん家でパーティーしよーと思って!」


聞き苦しい言い訳を、並べてみても
瀬名さんの眉はピクリとも動かない。

むしろ、怒りが募ってる感じ。

これは、まずいな。


「で、言い訳はそれだけ⁇」

瀬名さんの黒い髪が視界に入ってくる。


「…はい。」


「別にそーゆーのいいから。しなくて
どーせ、あんたの嘘だろ⁇」

やっぱり見破られてたか…

っていうか!!

「あんたって呼ばないでよ!
ちゃんと名前あるんだからね⁈」


瀬名さんは、
ちょっとびっくりした表情で
こっちをみる。


私は「何よ」と言わんばかりに睨みつけた。


すると瀬名さんは
ふーっ。と溜息をついて
少しだけ、頬が緩んだようだった。


「じゃ、俺のことも“瀬名さん”じゃなくて“亮”ね、奏。」


頭の上に、また手が載せられる。


慌てて手を払いのけると同時に
不覚にもドキッとしてしまった。

顔、自分でも赤くなってるのわかる…

パッと俯くと、



「あと、家、教えたら許さないからね」

不意に現実に戻される。

なんなのよ!

やっぱり、この人バラされちゃいけない事情あるみたい。