「ごちそうさまでした。」

食器を洗おうと立ち上がる。


ーーーピンポーン


誰かな?こんな時間に…


インターフォン越しでは
顔がよく見えない。


急いで玄関の扉を開ける。



男の人…⁇





「先週、隣に引越しました。
瀬名と言います。」



お隣に引っ越してきたんだ!
全然知らなかった。

瀬名さん…


くっきりとした二重に整った眉。

艶があってきれいな黒髪。


一言でまとめちゃえばイケメン。


あぁ。こんな人がうちの高校にいたら
綾音は、毎日の登校が楽しくなる。
なんて言うんだろうな。




あれ⁇



うちの高校の制服…




「これ、よかったら。」



瀬名さんが、引越しの挨拶の手土産を
渡してくれた。






あれ⁇



制服の襟元の学年章には“1-6”とある。

私と同じクラス。

うちのクラスでこんなイケメンいたら
とっくに綾音が騒いでる。





「どうかしました⁇」

「…⁈」


顔近い!

「…え!いや、その…」


鼓動が、
周りにきこえちゃいそうなくらい
大きな音をたてた。


「あ、その…」


途切れ途切れの言葉を繋ぐけど
なんかうまくいかない。


「…あ、ごめんなさい。
僕、制服のままで来ちゃって。」


「全然、大丈夫ですよー!
その制服は南高⁇」


とてもぎこちない話し方の私。
テンションがなんかおかしい


「そうです。
今日転入したばっかりで…」



今日、うちのクラスに転入したのは
地味男くんだけだ。


こんなイケメンが来るなんて話は
全くなかったはず!


これは、聞いても大丈夫なのか⁈
瀬名さんの名前…

いや、それはまずいかな⁈


もし、この人が
あの地味男クンだとしたら…
この瀬名さんには
何か触れちゃまずいような特別な理由があるはず。



でも…
気になる!


もしかしたら…
地味男くんとは、双子とかね?


ありえなくもない。



ますます、
あの地味男クンと瀬名さんの
謎が深まる。



「瀬名さんの下の名前、“亮”とかじゃないですよね…⁇」