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「…ねー⁇ありえないでしょ⁈」

「あーはい、綾音サン。
一旦落ち着こう。」

「やだ!!無理!!」


放課後、某ドーナツショップで
綾音の彼氏に対する愚痴が零れる。


「だってー、この間なんか…」


簡潔にまとめた話が
彼氏が甘えさせてくれないらしい


「いいなー。奏は」

「何が⁇」

その瞬間、
綾音がニヤニヤと耳元で囁く。



「一人暮らし…」





「…ッばか!!!」




思いもよらないWordに赤面…



「だって、私だったらぁー」


「こら!
聞いてるこっちが恥ずかしい!」






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帰り道で


”一人暮らし…”


綾音に言われたことを思い出した。


まぁ綾音は
彼氏がいるしね(笑)


私も彼氏がいたら
そんな事考えちゃうのかな⁇



そんな事を考えながら
マンションのポーチに入る。





ーー”2階です。”


あ、エレベーター来た。




「何階ですか⁇」


背の高い男の人が1人、
先に乗っていた。


「8階に。ありがとうございます」


『あ…』


二人の声が重なる


8階のボタンだけが
一つ淋しくついていた。


「同じ8階なんですね」

と言うと
男の人は

「…あっ!あー、そうですね(笑)」


と態とらしく笑った。


なんかまずいことでも言ったかな?



気まずい雰囲気の中
エレベーターは上昇する…