それをいきなり「涼輔さん」なんて呼んだら、なれなれしいとか、思われないかしら?
 


それに、こうして落ちついて見てみると、彼は本当にキレイな顔をしている。


今日出会った探偵さんもなかなかのイケメンだったけれど、氷室涼輔は、もっと……美形な感じ……。


 
あたしの視線に気づいた様子もなく、氷室涼輔はそっぽを向いて鼻を鳴らすと、
 


「君の趣味に会うかわからないが」


 
紙袋を渡してくれた。中味は本とCD。



本はハードカバーから文庫本まで色々揃っている。

今売れている本を取りそろえたといった感じだ。

あたしの好きなミステリーもあった。



CDはといえば、全部クラシックのアルバムだった。



チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲がある。

あたしの大好きな曲。

パパとママの結婚式でかかった曲。

小さい時からその結婚式のヴィデオを擦り切れるくらい見せられたっけ。