ちなみに、涼輔のお父様は婿養子らしい。
 


「涼輔さんのお母様?」


 
「ええ、さようでございます。奥様は涼輔様が三歳の時にお亡くなりに……あ、失礼致しました」


 
ちょっと慌てる原島さん。

 
「あ、いいです。そんなに気を使ってくれなくっても。さっき泣いたら、何だか吹っ切れました」

 
原島さんは優しく微笑んだ。

 
「幼くして奥様がお亡くなりになり、旦那様は御多忙で……寂しい思いもされたと思います」

 
しんみりした口調になった。

 
そうか、三歳で涼輔さんのママって死んじゃったんだ。


それって、哀しいね。


こんな言い方はおかしいかもしれない。


だけど、七歳であたしのパパが死んだ時、確かに悲しくはあったが、絶望のドン底っていうわけではなかった。


子供としては両親そろっているのにこしたことはない。


だけど、どちらかと言うとパパが死ぬよりママが死ぬほうが、より悲しいと思う。