旗丸理恵子は、全ての容疑を否認しているが、富沢俊夫が一部の電話でのやり取りをテープに録音していたため、嫌疑を逃れることはかなわないだろう。
　

旗丸理恵子という女性は、手垢のついた言葉で言うと、魔性の女のようなところがあったらしい。


横領を暴露すると脅すのみならず、親子二人と肉体関係を結び、千住母子を亡き者にしたら結婚してやると、そそのかした。


――自分も危なかった、もしも千住母子殺害に成功して遺産を得ていたら、次は自分も亡き者にされていたかもしれない。


そう富沢靖男が警察でしゃべりまくっていることを、ヤナギヤがその後、Ｓ署の高嶺署長から聞いてきた。

　
旗丸理恵子が都季ちゃんが通う大学に出向き、彼女を呼び出すために、都季ちゃんの同級生を雇ってコンサートのチケットを渡させた。