ROMANTICA~ロマンチカ~

「行ってしまった……」
 
つぶやいた涼輔は無表情だった。
 

好きだと、愛していると言った、その舌の根も乾かぬうちに、彼女は自分のもとを去った。


 
「下らない」


 
まったく、下らない。


あの女と関わり合いになると、ろくなことがない。


あんな疫病神に執着する必要など、さらさらない。

 
だが、痛かった。

 
精神が疼いた。

 
どうしてくれよう。この喪失感。