ROMANTICA~ロマンチカ~

   ***
 
氷室涼輔は目を開いた。

夢を見ていたらしい。

滅多にないことだ。薬のせいかもしれない。
 

ずいぶん、昔のことを覚えているものだ。

脳のキャパシティには脱帽する。
 

灯りが消えている。
 

「都季?」
 

返事がない。

手探りでスイッチを見つけ、電気をつける。
 
都季は、そこにはいなかった。

ベッド・サイドのサイド・ボードに置手紙。

手紙というよりも、メモだ。病院の便箋に書いてある。