「立てるか? ……痛ッ!」
 
あたしを助け起こそうとして、逆に、ガクンと膝をついてしまう。

右足を押さえる。
 

「大丈夫、涼輔さん?!」
 
「久しぶりだったから……ちょっと、ドジった」
 

涼輔さんは、きまり悪そうに、ちょっと笑ったけれど、足は相当に痛そうだった。
 

「やあ、都季ちゃん。久しぶりだね」
 

あたしたちのそばに来ていたヤナギヤさんが、初めて会った時と同じような、どこかとぼけた口調で言った。
 

「まったく、君の王子様は相当無茶をする人だぞ。まだまだ学ばないといけないことがたくさんある」