ROMANTICA～ロマンチカ～

それに、富沢（とみざわ）のおじ様に俊夫（としお）さん、旗丸理恵子（はたまる・りえこ）さんに会いたかった。
　

富沢のおじ様は、あたしの遠縁に当たる人。

ママの会社で経理をしていてくれた人だ。



息子さんの俊夫さんもママの会社で働いている。


今のあたしにとっては唯一の血縁者と呼べる存在。


そう、それに俊夫さんも三年前にお母さんを亡くしているから、きっとあたしの哀しみをわかってくれるはずだった。


　
富沢さん親子とママの秘書の理恵子さんは、あたしにかわって葬儀の手配から、何から何まですべてをつつがなくこなしてくれた。

フヌケなあたしを元気付けようとしてくれた。


彼らに対するあたしの感謝は並々ならぬものがあった。
　

富沢さん親子とはそんなに親密な付き合いをしてきたわけではなかったけれど、これからは仲良く助け合って行こうと、フヌケになりながらも、心のどこかでは決意していたあたしだったのだ。


理恵子さんは、もう十年以上もずっとママの秘書をしてくれていた人で、あたしの憧れの人だ。



美人で仕事ができて、優しくって……。


あんなお姉さんがいたら、どんなに素晴らしいだろう。しばしば空想したものだった。


それに、フヌケのあたしをギュッと抱きしめてくれた。