そう、気持ちは言葉に出さないと伝わらないこともある。


目は口ほどに物を言うとはいうけれど、目だけじゃ自信がない時は、口で言わないと始まらない。


 
「涼輔さんって、すごいですよね。


何か、どっしりしてるっていうか、大人っていうか……。


あたしが涼輔さんみたいな立場にいたら、きっとオタクに走ってアニメ・フィギュア作ったり同人誌を作ったりして、そういう話ばっかりして相手をウンザリさせるとか、行き先も告げずに何ヶ月も放浪して歩いたりしちゃうと思います。


だけど、涼輔さんは、ストレスをストレスとも思わずに、淡々とストイックに生きてて、本当にすごいなぁって思います。


あたし、もっと涼輔さんのことを色々知りたいです。


涼輔さんが好きな音楽とか、好きな本とか、何味のアイスクリームが好きかとか……」
 


自分でも何を言っているのか、段々わからなくなってくる。


氷室涼輔は、またノドの奥で笑うと、



 
「求愛か?」


 
手を握り返される。


 
――きゅ、求愛?!


 
内心焦ったけれど、
 


「言葉を発するのはわたしですけど、解釈するのは受け手の自由です」
 

彼の切り返しを真似てみた。