ROMANTICA~ロマンチカ~

そうすると、彼があたしの視線を追いかける。
 


「あの、どうしてそんなに見つめるんですか」
 
「私が見つめてやらないと、他に誰も君のことを見つめないだろう。それじゃ、可哀想だと思って」
 
「どういう意味です?」
 
「言葉を言うのは私だが、解釈するのは君の自由」

 
楽しい。

氷室涼輔って、自分のこととかあまり喋らないけれど、切り返しがすごく上手だなっていつも思う。

こうやって、彼と他愛のない話をしているのはすごく楽しいし、この人となら、安心して話せる。

 
氷室涼輔の手が、あたしの髪に伸びた。


 
「冷たいな。いつからここにいたんだ。風邪引くぞ」
 
「平気です。育ちがたくましいので……」


 
涼輔が、クッとノドの奥で笑い声を立てる。
 


「ドレス、良く似合っている」
 
「馬子にも衣装?」
 
「自分で言うかぁ、普通?」
 


プッと吹き出し、ケラケラ笑い出す。