「寒そうだ。着ていなさい。おい」
肩を抱き寄せられ、ドキッとする。顔がカーッと熱くなる。
――ああ、そんな大胆な!
「気をつけろ、池に落ちるぞ」
その通り、後一歩下がっていたらあたしは鯉たちと仲良く寒中水泳していたことだろう。
「座ろうか」
側にあったベンチに腰掛ける氷室涼輔。
「……はい」
タキシードに袖を通すと、温かかったし、いい匂いがした。柑橘系のコロンと、クリーニングから戻って来ておろしたての洋服の匂い。
それに微かだけど男の人の匂い。
嬉しさと恥ずかしさがない交ぜになった変な気分。
彼の隣にあたしは腰かけた。
「どうした? 元気がないな」
「ちょっと疲れました。こういう華やかな席って、慣れていませんし……」
肩を抱き寄せられ、ドキッとする。顔がカーッと熱くなる。
――ああ、そんな大胆な!
「気をつけろ、池に落ちるぞ」
その通り、後一歩下がっていたらあたしは鯉たちと仲良く寒中水泳していたことだろう。
「座ろうか」
側にあったベンチに腰掛ける氷室涼輔。
「……はい」
タキシードに袖を通すと、温かかったし、いい匂いがした。柑橘系のコロンと、クリーニングから戻って来ておろしたての洋服の匂い。
それに微かだけど男の人の匂い。
嬉しさと恥ずかしさがない交ぜになった変な気分。
彼の隣にあたしは腰かけた。
「どうした? 元気がないな」
「ちょっと疲れました。こういう華やかな席って、慣れていませんし……」
