ROMANTICA~ロマンチカ~

それにしても、ショックだった。


あまりのショックに、あたしは残り一ヶ月の夏休み中に五キロ太ってしまった。


いっそ五キロやせたのだったら、悲劇のヒロイン気分に浸れただろうけど、五キロ太ったあたしは、むしろ喜劇のヒロインだった。

こうなったらもう、泣いていいのやら笑えばいいのやら、わからなかった。

どうも、あたしの場合、この身にどんなピンチが訪れようと、常にエネルギーが「生」の方向に行ってしまうタイプらしい。

これが「死」の方向だったら、魔性の女チックな魅力が醸し出されたかもしれないのに……残念だ。


 
大学に入って三キロは元に戻したものの、今もその時の後遺症が脇バラに残っている。
 


高梨君は現在浪人中で、彼女は慶応医学部の人と付き合っているらしい。