――女は恋をすると美しくなる


なんて言うけれど、必ずしも全ての女がそうじゃないらしい。


あたし、きっと今、すごく嫌な顔してる。

こんな顔じゃ、彼に会えないよ。
 


――あーあ、どうしてあたし、良く知りもしないで嫌なヤツって決めつけて、あんたとの婚約なんて願い下げなんて言ってしまったんだろう。



アドヴァイザーとして紹介されるまで、これほどまでに後悔したことはなかった。



元々あたしが彼との結婚なんて願い下げって言ったのが悪いんだし、

ママが死ぬまで氷室涼輔とは面識もなかったわけだし、

そして彼とは体の関係はおろか、

キスすらしたことないんだし……。



そう言えば、あたし、氷室涼輔とだけじゃなくって、まだ誰ともキスなんてしたことがないわけで……。
 

あー、もう段々ワケがわからなくなってきた。
 

とにかくブルー。後悔、先に立たず。


――そういえば、近頃みないな。いつもの夢……

ふと思った。


犬と少年の夢、ここのところずっと、みてない。

どうしてだろう?