あたしだって「鉄の女」の娘だ。


そんじょそこいらのキャリア・ウーマンやお嬢様とは年季の入り方が違う。


ドレスのスソを踏んでよろけたフリして、突き飛ばし返してやるくらいのことはしてやろうかと思ったけれど、氷室家のみなさんに迷惑がかかるといけないので、ここはグッとガマン。


 
ガマンしていると、司会進行役の声。


 
「皆様、本日は御多忙の所をお運びいただいて、まことにありがとう存じます。

それでは、氷室物産社長代理氷室涼輔から御挨拶申し上げます」
 


氷室涼輔が壇上に上がる。