「つかぬことをお聞きしますが」
安藤は急に真面目な顔になった。
視線の先には空来がいる。
「初恋はいつですか?」
「初恋?」
そんな質問初めてされた。
今まで恋バナというものを
1度もしたことがないし。
桜花はそんなものとは
無縁の世界だったしな。
「したことないと思う」
「・・・・・・マジか」
体育座りをして膝の上に乗せてた
腕に顔をうずめてしまった。
俺、何かマズイこと言ったかな?
「1回もない訳?」
「え?うん。ないと思う」
「じゃあ、何で空来だけ名前なの?」
空来だけ名前?
あぁ、どうして名前で呼ぶのかって話?


