「お母さん来るから抜けるね!


ごめんね、迷惑かけて」



17時55分


私は鞄を持ちながら大道具担当の子に


そう声をかけた。



「大丈夫だって!


他にも来れてない子いるから


そんなに気にしないでよ」


「ありがとう。また明日ね」



クラスメイトの“バイバイ”って


声を背中に受けて教室を出た。


今日は田中くんが靴箱にいるはず。


お母さんにお願いしないといけない。



『田中くんも一緒に良い?』



って。



「お待たせ!」


「あ、お疲れ」



なんか、運動会前に空乃ちゃんに


会いに行った時みたいな会話。



「お母さんに聞いてみるね」