さすが、安藤は空来のことを


よく分かってるなって思った。



「蒼海くん、お友達から電話よ」



ドアの外から先生の声がして


何故か時計を確認した。


夕方5時半。



「ありがとうございます」



受話器を受け取って耳にあてる。



「もしもし」


『蒼海?春馬だけど』



春馬の声はどこか焦ってるようだった。



「・・・何かあった?」


『高橋まだ家に帰ってないって』


「は?」



だって、俺は空来を家まで送った。


それは多分30分は前のこと。


それなのに、まだ帰ってない?


どういうことだよ。



『施設の前まで行くから』



春馬はそれだけ言って電話をきった。