「い、嫌だ…絶対にいやだ!お母さん達の代わりなんていない!
お母さん達は、一人だけ!」
泣き叫んだ。
お母さん達の代わりなんて、いらない。
だって、絶対に帰ってくる。
「待っててね?」って言ったんだよ?
帰ってこないわけない!
「せ、星果ちゃん…」
施設の人が困ったように言った。
「…すいません。あの、また来てくださいませんか?
まだこの子も混乱しているようなので…」
夫婦に申し訳なさそうに、謝っている。
「はい。わかりました。あ、でもちょっと星果ちゃんと話していいですか?」
「えぇ、いいですよ!ほら、星果ちゃん!」
「ぇ……」
私は戸惑った。
何を話せばいいのか。
「星果ちゃん。私の名前は佐々木アヤカです!覚えてね?」
「……」
「それじゃ、また来ますね!」
「あ、はーい!」
夫婦は帰っていった。
私はなにも言えなかった。
名前、教えてくれた。
また来ますねって言ってた。
表し用のない気持ちになっていた。
