「星果ちゃん!!」
玄関の方から、声が聞こえた。
「ちょっとおいで!」
私は無意識に足が動いた。
――――――お母さんが来たかも――――――
そんな淡い期待を持って。
でもそんな期待は、すぐにかき消された。
玄関の方を見ると、若い夫婦がいた。
「…だれ?この人達…」
私は思わず言ってしまった。
私から見たら、お母さんでもない。
ただの「赤の他人」なのだから。
施設の人は、慌てた様子で、
「あ、あのね?この人たちは、星果ちゃんを引き取ってくれる人達だよ?」
私を…引き取る…?
その時の私の顔は、酷く残酷な顔をしていたかもしれない。
だって、赤の他人がお母さん達の代わりをするのだから。