*ふわり、はつこい*


先輩が悪戯ぽく笑った。


「好きな人待ってるんじゃないの?」


あ、そっか。先輩ちょっと誤解してるんだ。


「その紙袋、チョコだったりすんじゃない」


私の手に握り締められている紙袋を指差してそう言った。

それは当たってるけどこのチョコ、本当は先輩にあげたかったチョコですよ。・・・なんて言えない。


「あ、あはは・・・っ。・・・そんなところですかねっ」

「ま、頑張ってね」


先輩は少し笑いながら帰ってしまった。

チョコ・・・結局渡せなかったな。今のって絶対に神様がくれたチャンスだったんじゃないの?・・・もう、本当に自分の意気地なし。

私の胸は後悔でいっぱいだった。