*ふわり、はつこい*

だけど至は遠慮しているのかその場を離れようとしない。

もう涙が零れそうになってあたしは咄嗟(とっさ)に教室から逃げ出した。

こんな涙、至に見せられない。


「幾田･･･!?」


教室を出る瞬間、至が私を呼ぶ声がした。

優しくしないで。好きじゃないなら、優しくなんてしないで。至のばか。

たどり着いたのは生徒会室。

ドアの前で立ち止まり、一度呼吸を整えようとした。

だけど涙が溢れるばかりで息は上がりっぱなし。


「幾田･･･!」


その瞬間、誰かが私の肩に手を置き、そう言った。。

･･･なんで、来るの?なんで･･･、なんで･･･、


「なんで追いかけてくるの･･･!?」


振り向かなくても声で誰だか分かってしまう。


「なんで･･･好きでもないくせに追いかけてくるの･･･!?」


至･･･。